パリ2024オリンピックで初めて正式種目として採用されるブレイキン。
日本代表選手のSHIGEKIX(シゲキックス)が有名ですよね?
「有名だけど、いったいどういうスポーツなんだろう?」
「普通のスポーツは点数を取ったほうが勝つからシンプルだけど、
ブレイキンはわかりづらいな・・・。」
と思っている方もいると思います。
ニューヨーク発祥と言われるブレイキンは、技をみがいて点数をとるスポーツでありながらも、芸術的なところもあって、歴史的背景を知ったらブレイキンの魅力がより分かってきます。
ダンス経験者じゃないとつかみどころが分からない?!という方が多いと思いますので、
オリンピック目前に、ブレイキンのルーツや、日本のブレイキンの成り立ち、日本代表メンバーと評価方法やブレイキンの主要な大会等についてまとめていきます!
参考になれば幸いです。
押さえておきたい『ヒップホップカルチャー』のルーツ
NYの貧困地域から始まったヒップホップ
1970年代後半のニューヨークシティのブロンクスの貧困地域でヒップホップカルチャーはうまれています。
少数派のコミュニティ(行き場のなくなったギャングたち)による自己表現とエンパワメントの象徴としてヒップホップカルチャーができあがり、ブロックパーティ(クラブのパーティーのようなもの)でDJたちが創り出したリズムにのって若者たちが世の中へ声を上げる場ができたことが始まりだそうです。
70年代のニューヨークをさかのぼってみると、ブロンクスの若者が世の中に訴える理由が少し理解できる。ニューヨークは1975年に財政危機で市は破産寸前、連邦政府の支援を受ける事態になっていた…。治安も悪化して、犯罪率が急増。多くの地域が荒廃していた時だった!
この若者の叫びを反映したヒップホップカルチャーの中心要素が、DJ、MC(ラップ)、グラフィティ(ストリートアート)、ブレイキンの4つ。
それぞれがラップや音楽にのせたり、アートにしたり、ダンスの表現を通して社会に訴えたそうです。ギャング同志がやみくもに傷つけあうのではなく、平和的に解決する術として浸透していったということですね。
そして、次第にパーティー形式でのダンスから競技形式になっていったそうです!
最初のブレイキンの競技大会は1970年代後半ですが、一番有名なのは1981年にニューヨークで行われたBattle of the Year(初の国際大会!)。
世界へ広がったヒップホップカルチャーのいま
ヒップホップは今や世界にも広がって、社会的、政治的、文化的な対話を生み出し続けています。
現在はその国ごとの文化とも相まって、独特の個性を生み出しているところが見どころ。
例えばブラジルは、カポエラなどの文化が融合されているし、アフリカのコンゴもその土地のムーブやリズムが活かされています。欧州もまた独自の文化と融合しています。
ちなみに、日本代表のSHIGEKIXは、過去にコンゴのゴマに行って、コンゴ代表のB-Boy ジュニアの案内で異文化に触れています。
ジュニア選手は幼少期にポリオを患って右足が不自由ですが、その不自由さを感じさせないダンスの動きがとてもかっこいいです。SHIGEKIXとジュニアのファンになってしまう動画はこちら。
ヒップホップカルチャーの一つの「ラップ」といえば、川崎の工業地帯でうまれた「BAD HOP」は日本の伝説のラッパーグループ。少年期には様々な事件を起こしたメンバーもラップによって更生させられ、超人気ラッパーグループになったのは有名。
50年代~70年代の高度経済成長期の当時の川崎も急速な工業化や環境規制の遅れ、都市計画の不備などでで、生活環境は決してよくなかった。
その後に産まれ育ったBAD HOPのメンバーの幼少期も多大な影響を受けていたはずだ。
どうにも消化できない心の叫びが、今もなお世界でラップや音楽、ダンスのムーブ、アートなどにのせて表現されている!
ブレイキンの競技人口は年々増加
ブレイキンは、DJやグラフィティーやラップと同じように、当時の腐敗したニューヨークの街に住む若者が、傷つけあうのではなくて、平和的に解決するために浸透してきたヒップホップカルチャーの象徴。
今もなお若者からの支持が高く、ブレイキンの人口は日本でもアメリカでも毎年増加しているそうです。オリンピックの正式種目となったのは大きいのかもしれません。
ブレイキンの特徴は、驚異的アクロバティックな技。
選手たちはまたDJの音楽に合わせて個性豊かな演技を「即興で」披露しなければなりません。
オリンピック競技では、1対1のバトル形式で行われ、トップロック、フットワーク、パワームーブ、フリーズという基本的な動きを各選手が独自のスタイルで展開します。
※ダイナミックな動きのパワームーブを連想しがちですが、それが全てではなく、別に様々な表現の方法があることを理解しておくといいです!
ブレイキンの日本の公式サイトには上記のような基本のムーブのほかにこのように記載されていました。
(ブレイキンは)身体能力の高さが主に必要とされるように思われますが、もちろんダンスなので音楽や表情、見せ方など様々な表現力やセンス、キャラクター、そして新しいものを作り出す創造力など様々なことが問われます。
ブレイキンの評価方法
実際の評価方法を調べるとなかなか難しいため、知っておくべきはダンスが終了した時点で、選手の優劣を審査員がジャッジするというところ。
審査員がジャッジするアイススケート、体操、ボクシングに若干似ていますね!
個人的な考え方ですが、例えばアイススケートは、スピン、ジャンプ、ステップの技に分けてそれぞれ注目しますよね。
ブレイキンも同じように、上述のトップロック(立った状態での技)、フットワーク(床に近い位置での技)、パワームーブ(回転などアクロバティックな技)、フリーズ(動きを止めた決め技)くらいはわかかるようになっておくと楽しいかもしれませんね!
オリンピックで選手がどういった心境で臨むのかわかりませんが、上記のような技に加えて自己表現の場を楽しむということもブレイキンの魅力かもしれません。
ブレイキンは、競技が終わると選手同士が笑顔でハグをしあうところがいいですよね。
主要な世界大会のいくつかも紹介:
ブレイキンはオリンピックをきっかけに世界で注目されていますが、今後の世界大会も注目です!
現在の主要な世界大会のいくつかを紹介:
1. Battle of the Year (BOTY) ←1981年が最初の大会で最も長く続く。クルー(チーム)戦。
2. Freestyle Session (アメリカ)
3. The Notorious IBE (オランダ)
4. Red Bull BC One (ワールドワイド) ←世界で最も権威のある1on1の大会!
5. The UK B-Boy Championships (イギリス)
6. The Legits Blast Series (スロバキア、チェコ共和国、アメリカ)
7. BBIC (韓国)
次の28年LAオリンピックで、ブレイキンの種目は含まれていない!
パリオリンピックで見れるのはとにかく貴重!また将来的含まれるかもしれないし…
今回をとにかく楽しもう!
スポーツというくくりではなくて、ヒップホップカルチャーの「文化」的なくくりで考えたら今後もいろんなところで繁栄していきそうだ。
ブレイキンの日本代表メンバー
日本でも、他国と同じように1980年代にヒップホップカルチャーが広まり、ブレイキンは1983年の映画『ワイルド・スタイル』や『フラッシュダンス』がきっかけでブームが起こったそうです。
現在は、日本人のB-BoyとB-Girl(ブレイクダンサー)の技術は高く、世界でも高い評価を受けています。
2024年のパリオリンピック代表に選ばれたのは4人。
トップクラスの選手がひしめきあう中で選ばれた選手ですので、とても楽しみですね。
男子代表
- 大能 寛飛 (おおの ひろと) ダンサー名:HIRO10 (世界ランク17位)
- 半井 重幸 (なからい しげゆき) ダンサー名:SHIGEKIX (世界ランク2位)
女子代表
- 湯浅 亜実 (ゆあさ あみ) ダンサー名:AMI(世界ランク1位)
- 福島 あゆみ (ふくしま あゆみ) ダンサー名:AYUMI(世界ランク4位)
※世界ランキングはWorld Dance Sport Federationのオリンピック評価システムランクリストを引用。24年7月20日時点のものです。
まとめ
パリ2024オリンピックでのブレイキンのルーツや、見どころ・楽しみ方、日本代表メンバーや評価方法に主要大会について少しわかっていただけたでしょうか?
ブレイキンの試合は、8月9日から11日にかけて行われます。
次回の28年ロサンゼルスオリンピックにはこの種目は含まれていません!
しかし、ヒップホップカルチャーのひとつブレイキンは、今後も世界で親しまれていきそうです。
試合まであと少し。
日本代表メンバーHIRO10、SHIGEKIX、AMI、AYUMIのトップロック、フットワーク、パワームーブ、フリーズのムーブを楽しんで見ましょう!
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