いよいよ6月27日から、ネーションズリーグのファイナルラウンドが始まります。
選手は、予選が終わって3日間で移動してファイナルに臨むのですね。
日本男子はポーランド入りをしたそうですので、どのチームも続々と準備を始めているころだと思います。どの国も怪我無くベストを尽くしてがんばってほしいですね!
今回は、気になるバレーボール界のリジェンドで神と言われる『ウィルフレド・レオン』の経歴から現在に至るまで、直近の怪我、今後の気になる移籍場所などについて前回よりさらに深掘りしてみました。
#9 ウィルフレド・レオン
意外にも、レオン選手が代表をつとめるポーランドはまだ1976年以来オリンピックで金メダルを獲得したことがありません。
以降決勝戦に進出したこともないそうです。
直近の東京五輪では健闘の5位。
パリ五輪では1976年ぶりの『金メダル』が期待されている国のひとつですが、
そもそも、レオン選手はキューバ代表からいつポーランドの代表になったのでしょう?
キューバが生んだ天才レオンの「決して順調ではない」キャリア
現在30歳(24年6月時点)のレオン選手。
日本の石川選手より2個上、セッター関田選手と同い年の選手です。
レオン選手の代表としてのキャリア🏐
14歳(2007年)でキューバ代表となり、数々のメダルや個人賞を獲得。
※2010年の4年に1度の世界選手権では、最若年キャプテンとしてチームを率いて、銀メダルを獲得。※2014年以降キューバは世界選手権で10位にも入っていません。
しかし、キューバの代表は2013年に終わりを告げ、ロシアのクラブチームZenit Kazanでプレーする決断をしています。
キューバのナショナルチームの惨状について、レオン選手がニューヨークタイムズでこう語っていたことがあります。
(和訳)寮の最上階に長く住んでいましたが、天井から雨が降り注ぎ、入浴や洗濯をするために、近くの井戸からバケツ2杯の水を汲み上げて4段の階段を上らなければなりませんでした。
出典:https://www.nytimes.com/2021/08/02/sports/olympics/wilfredo-leon-volleyball.html
こうして、キューバを去りロシアでバレーを再開します。
2015年の7月(22歳ごろ)にポーランドに帰化。
その5年後の2019年(26歳ごろ)からポーランド代表として活躍することになります。
2021年(28歳ごろ)の東京五輪が、レオン選手にとってオリンピック初出場だったのです。
ちょうど今の石川選手と同じくらいの年齢です!
→国家の代表としては7年くらい空いていますし、せっかく代表入りしたものの、コロナ禍で大変だったことでしょう・・・
ちなみに、レオン選手がポーランドを選んだ理由は、最愛のガールフレンド(現在の妻である)マルゴジャータ・レオンがいたことと、ポーランドの国民がバレーを愛しているということだったそうです。
ポーランドでは、バレーボールはサッカーの次に人気のスポーツですし、イタリアリーグと並んで強豪のクラブチームがあるというのもあり、うなづけます。
代表のキャリアはそこまで長くないが、クラブチームでは毎年のように頭角を現している!
Capitalinos (Cuba)(2005-2010)
Orientales de Santiago (Cuba) (2010–2013)
Zenit Kazan(Russia) (2014–2018)
Al Rayyan (Qutar) (2015-2016)
※2015年はポーランドに帰化した年。
Sir Safety Perugia (Italy) (2018-2024)
※2019年はポーランド代表になった年。
※コロナ禍や怪我で出れない年を除いて、NORCECA(北中米バレーボール連盟)カップ、CEV(欧州)チャンピオンズリーグ、FIVB(国際バレーボール連盟)世界クラブ選手権では毎年賞を獲得しています。
2019年にポーランド代表となって、2021年の東京五輪が彼にとってのオリンピック初出場というのはとにかく驚きだ!
帰化して海外でプレーするキューバ出身の選手は、代表になるまでにとても時間と労力を使っているようです。
レオン選手のほかにも、最近ではトルコ代表(女子)のバルガス選手もトルコ代表になってわずか3年です。
ブラジル代表のヨアンディ・レアル選手や元イタリア代表のオスマニー・フアントレナ選手(東京五輪の後代表を引退)などもいます。
過去には帰化して他国の代表となるのに疑問を訴える選手がいました。フランス代表の今期ファイナルでも出場が注目されるヌガペト選手がその一人です。
和訳)彼はキューバ人だ。キューバで生まれ、キューバの代表チームで重要な大会に出場していた。私はこのことが理解できないし、大多数の人が同じように考えていると思う。
出典:WorldofVolley :: POL M: Ngapeth – „It’s unfair that León will play in the Polish national team“
人によって考えは様々ですが、代表になれなかった期間が長年あるという事実と、国家を簡単には変えられないという事実、また変わらずにバレーをひたすら愛してファンを沸かせてくれる、ということだけは不変な事実です。
怪我からの復活
レオン選手は19年のポーランド代表になったあとも、コロナウィルス感染拡大の影響のほかに、怪我などに見舞われています。
22年には、膝の不調で世界大会を丸々欠場したこともありました。
すべてはその先の大事な試合を見据えてのことだとチームの監督も伝えていました。
同年、秋のイタリアリーグでは、着地の時に足を滑らせ転倒。
頭を強打して倒れ、メディカルスタッフがコート内に入ってきて数分間試合がストップしたこともありました。痛そうでした!
23年は晴れてネーションズリーグに登場して、ポーランドを優勝に導き、
ヨーロッパ選手権でもペルージャを2度目の優勝に導き、大会MVPも受賞。
ところで、レオン選手は23年のヨーロッパ選手権で、時速138キロのサーブを放っています。
男子オランダ代表のニミル選手が世界記録となった時速137キロを放った4日後だったそうです。
過去にレオン選手の130kmのサーブを受けた日本代表の大塚選手は、「あのサーブはいかつかった」と言っています。
24年はレオン選手のある意味ターニングポイントかもしれません。
彼自身2度目のオリンピックでメダルをつかみたい思いがあるのではないでしょうか?
ネーションズリーグ2024のウィーク3がひと段落したあと、「コートに戻ってきてほんとによかった」と、サーブエリアでの本人の写真を久々にアップしてくれていました!
レオン選手は、この2年怪我からも復活をして、ますます躍動するに違いない!
レオン選手の今後の移籍についてはポーランドが濃厚?!
ネーションズリーグやパリ五輪の活躍も気になりますが、レオン選手はイタリアのペルージャを今期(2024年)で脱退しているので、今後の行方は世界が気になっているところです。
ポーランドのチームに入るのが濃厚なのでは!?という噂もあります。
家族もいますし、各クラブチームと交渉中なのでしょうか。
現在は残念ながらまだ情報がありません。
(→2024年7月レオン選手はポーランドのクラブチーム LKPS ルブリンに移籍することが決まりました!!正式名称はBogdanka LUK Lublin。2021年にポーランドのトップリーグに昇格しているチームです。)
レオン選手まとめ
ウィルフレド・レオン選手は、かつて母国キューバで10代ながらキャプテンを務めあげ、「銀メダル」を獲得するほどの実力ある選手でしたが、もっと良い環境を求めて海外に拠点を移しました。
ポーランドに帰化して、代表選手になるまでに、キューバの代表脱退後から7年ほど費やしました。ポーランド代表後もコロナ禍や途中怪我にも見舞われています。
しかし、昨年はNL優勝、今年度ペルージャも優勝に導き、今年のNLもファイナル進出と飛ぶ鳥を落とす勢いで邁進しています。
パリ五輪がレオン選手にとって生涯「2度目の出場」ですが、世界が大注目していることがよくわかります。
今後、どこのクラブチームに所属するかも注目の的(→ポーランドのクラブチームLKPSルブリンに決定!)ですし、どのチームも欲しい選手でしょう。
まずは、ネーションズリーグ2024のファイナルが楽しみですが、その後のパリ五輪とクラブチームでの活躍もほんとに楽しみですね!
📝以前、ネーションズリーグ2024予選のポーランド戦の際に記事を書いています。こちらもご参考まで!
📝レオン選手と同じ「キューバ」出身で現在トルコ代表のバルガス選手の記事はこちらから↓
コメント